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異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

『カステラ』 パク・ミンギュ

カステラ

“現代韓国文学の人気作家・パク・ミンギュのロングセラー短編小説集。洒脱な筆致とユーモアあふれる文体で、主人公の若者たちを取り巻く「就職難」「格差社会」「貧困の様相」etcを描きながら、彼ら彼女たちに向ける眼差しを通して、人間存在への確かな信頼感に溢れるチャーミングな短編集。日本語版には「朝の門」(2010年、李箱文学賞〔日本の芥川賞と並び称される〕受賞作)を特別収録。”

 クラウドファンディングで設立された日本翻訳大賞の第1回受賞作(『エウロペアナ』パトリク・オウジェドニーク が同時受賞)。
 作者は1971年生まれ。現代社会の平凡な人々のやるせない日常を舞台に奇想が繰り広げられる作品群は、ロックだったり怪獣だったりプロレスだったりする題材と共に同世代の当ブログ主にも馴染みやすい要素が多いし、日本の現代作家とも相通じるところが多いのが興味深い。そんな中で日本語版で(たしか訳者の方のアイディアで追加収録された)巻末の「朝の門」はへヴィな情念をこめたややカラーの異なる作品でこれによってまた全体がひと味違う印象を与えている。
 授賞式のスピーチをうかがい小出版社であるクレインの純粋にこの作家の本を多くの人に読んで欲しいという情熱から個人個人のつながりを経てこの本が出されたことがよく分かり、それが沢山の読者に現代の韓国の一般の人々を伝えていることを思うと本というのは不思議なものだなあと感じざるを得ない。