異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

ジャネット・ジャクソンライブ@さいたまスーパーアリーナ

raibu 少々期待外れだった映画を観終わり、久しぶりにやってきた池袋なのでジュンク堂に寄っていくことにした。珍しく17時開演だが、池袋からなら30分ほどでさいたま新都心に着ける。先日春画展に行った時珍しく池袋を利用した際に時間がなくてジュンク堂によれなかった。幸い今日は時間があったのでまわれたのだが、案の定いろいろ買ってしまった。前に来てから10年以上経ってしまったかもしれないことにふと気づいて軽く驚いた。
 山下達郎が先日のライブで大会場のコンサートに苦言を呈していたが、まさしくその指摘そのもののコンサートにわずか数日で行くことになったのは正直複雑だった。しかし純粋に音楽を聴く場とは異なるかもしれないが、豪華なステージで演奏とダンスに映像が融合した見事なショウはやはり見事なもので、方向こそ違いこそすれこれまた強いプロ意識を感じさせるものだった。またジャネット・ジャクソンというアーティストを知るよい機会ともなった。
 ジャネット・ジャクソンは「よく分かる」アーティストだ。自分の中ではマイケルよりも存在が大きい。プリンスの洗礼を受けた同世代として、その影響下にあるジャム&ルイスのプロデュースでブレイクしたジャネットの歩みは非常にリーズナブルなものに思われ、完璧に仕上げられ過ぎて時に息苦しさすら感じさせらるマイケルの曲よりも開放感があったからだ。最先端のサウンドを意欲的に取り入れる思い切りのよさは、なにかと音楽面以外の話題も取りざたされやすいジャクソン・ファミリーの中でも末娘らしいプレッシャーのなさからくるものだろうという漠然とした印象を持っていたのだが、ぷらすとなどでもお馴染みNONA REEVES西寺郷太さんによるこちらを読むとそうともいえないようだ(ラジオ番組の書き起こしのようだが、ジャネットの経歴が非常によくわかるものだ。特に大ヒットを連発していた80年代後半~90年代前半を同時代に体験していた世代で少しジャネットにご無沙汰だった自分のような人におすすめ)。デビュー当初のジャネットというとそれこそマイケルの可愛らしい妹という印象があったものの、たしかにスタイルのよい兄・姉が揃う中では目立つ存在ではなかった。そこから本人のセンスと努力で時に挫折もありながらいつの間にかファミリーの中ではマイケルに次ぐアーティストに成長したということなのだろう。もうすでにベテランの域にある年齢でありながら、変わらぬ姿パフォーマンスを見せる姿は頼もしさすら感じさせた。現在もベースはジャム&ルイス時代のファンク路線にあるのも嬉しく、今となっては人工的なところが目立つ‘Control'の頃の曲も同世代としては懐かしさが嬉しいくらいだ。メドレー形式で次から次へとヒット曲がめまぐるしく変わる形が続いたが、特に好きなのはThe Best Things In Life Are Free。スローでもヒットを飛ばしてきたジャネットだが、何よりも大きなプレッシャーを跳ね返して高らかにfreeを歌うはじけるような元気さが魅力の源だろう。
 あくまでも印象だが会場には比較的女性が多く、それもどちらかというとディープなブラックミュージック好きというよりもカジュアルなタイプの人が中心だったように思う。特別な環境で育ち若くしてデビューしたジャネットだが、スーパースターながら親しみやすいルックスで不思議と身近に感じられるところがある。しかも平坦とはいえない歩みの中で、自らの出自や経歴を自然に受け止めながら愛され続けている。一方アンコール時にはShoulda Known Betterで社会問題へのメッセージも投げかける。そこには等身大のジャネットがいて、そうしたナチュラルな生き方が女性たちの共感を呼ぶのかもしれない。全員が女性で躍動感あふれる圧倒的なパフォーマンスを見せた女性ダンサーたち、それとは対照的に息もつかせぬ隙のないステージの後を楽しむかのようにメンバー紹介をするリラックスしたジャネットを思い出しながらそんなことを思った。