異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

『デスメタルアフリカ』

デスメタルアフリカ: 暗黒大陸の暗黒音楽 (世界過激音楽1)

 twitterなどで目にした時のタイトルのインパクトでどんな本かなあと思っているうちに評判もよいことを知り購入してみた。これはすごい本だよ。いろんな意味で強烈なインパクトがある。
 1980年代のメタルぐらいしか聴いたことのない当ブログ主なので、本書でバンド紹介のために比較として登場する(おそらく有名だろう)バンドやサブジャンルやメタル系音楽用語さっぱり分からない。しかしいつのまにやら全編目を通してしまった。ネットを駆使しほとんどがアマチュアや兼業というバンドの音をしっかり聴き背景までできる限りは把握して紹介している。またそのバンドの数の多さときたら!その上Facebookでインタビューまで取っている。この情熱に圧倒される。また評価はシビアで手厳しい評も多くみられ、読んでいて面白いと同時にアフリカのメタル事情が正確に伝わってくる。本書でイチ押しとされているモザンビークのSgratchはデスメタルというよりポップなハードロックでダサカッコよさが非常によい。
(本書に出てくる曲ではないがこれが好き)
Scratch - LOKU WOMANGALA UFILE - YouTube

 人種も出自や言語も様々で、国々の紹介と共に興味深い。たとえば白人系のルックスながら黒人系の言葉を使いアイデンティティーが黒人化しているようなミュージシャンもいたりする。また端々にあふれるユーモアも当ブログ主のようなジャンル外の読者を楽しませてくれる。特に味わい深いのはビジネスとして成熟していないがゆえのバンドマンたちの素の部分。(ネットだとはいえ)インタビュー途中で犬に餌をあげにいってしまう話、ボツワナのカウボーイハットに革ジャンという黒人メタラーファッション、演奏や曲はイマイチなのにやたらと写真と動画が凝っているカボンのバンド、見るからにメンバーがもろかぶりというカーボヴェルデの2つのバンドなどついつい頬がゆるんでしまう。しかしその一方政治に話が及ぶとノーコメントを貫く人、舌鋒鋭く政府批判をする人あり厳しい状況を感じさせハッとさせられる部分もある(南アフリカの白人至上主義ブラックメタルへのインタビューも読みどころの一つだろう)。
 執筆者のハマザキカクさんは世界史などいろんな国を題材にしたユニークな本を出し注目を集めている方だが、その圧倒的な情報消化力はビッグデータ時代の新しいノンフィクションの形を予感させてくれる。ノンフィクションが大きく変わろうとしているのではないだろうか。
 メタル苦手なワールドミュージックファンも一読をおすすめする。タイトルにピンときた人はみんな手に取ってほしい一冊である。