異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

『ポー詩集』ポー

NHKカルチャーラジオ 文学の世界 ボブ・ディランの世界を読む (NHKシリーズ)

 NHKカルチャーラジオ文学の世界でボブ・ディランの歌詞がテーマになった。本格的に解説したものを聞いたり読んだりするのは初めてで大変面白かった。ブルースとの関係や過去の詩人の影響などもよく分かりポピュラー音楽での歌詞の進化という視点でいろいろ知ることができた。特に“Tanlge Up in Blue”の歌詞には以前から興味があったので理解をすすめる上でよかった。
 ボブ・ディランに以前より関心を持つようになったのは、彼がDJをやったTheme Time Radio Hourというラジオ番組(日本でもInter FMで2013年から2015年3月まで放送されていた)を聴いてからだが、曲間の語りで引用などからどういった詩人や文学者に影響を受けたかを垣間見ることができるのも番組の魅力だった。詩人ではT・S・エリオットウィリアム・ブレイクの言及がたびたびあり、(前から知識としてはあったが)ポーの影響も大きいことがわかった。

ポー詩集 (新潮文庫)

先日某駅前のブックオフでポーの詩集があって、そろそろ読んでみるかなあと思い購入。詩集は数えるほどしか読んでいないので感想を書くのは難しい。また当然本来は英語なので翻訳のところをどうとらえるかという問題もある。この本は昭和10年に最初に出たものらしくそういう意味では古いある部分では古典的な香りの強い訳になっているともいえそうだ。
 輝かしい美しさや高揚と共に一転して死の影の襲わるというコントラストが印象に残る。幻想的でスケールの大きいイメージの詩も多い。以下雑感。有名な「大鴉」は最後去っていかないのが少々意外だった。「ユウラリイ」は美しさへの賛美と高揚感が中心の幸福感のある詩である。悲劇的な死をとげたポーの最後の作品が「黄金郷」であることに胸をうたれる。放蕩の面が語られがちなポーだが希望を捨てていなかったのだ。「鈴の歌」はリズミカルで音が聴こえてくるよう。