異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

映画『アタラント号』『スミス都に行く』観た

いろいろ新作映画があるんだけど、ついつい古い映画観ちゃう。
渋谷シネマヴェーラで2本観た。
アタラント号』(L'Atalante)(1934年)
 ジャン・ヴィゴ(Jean Vigo)監督、懐かしいな。大学に入学した時、フランス語の先生がシネフィルで(フランス語はものにできなかったが)友人と3人でジャン・ヴィゴの映画を観に行ったな。自分の学部では一般教養としてだったので付き合いは短い間だったが、発言とかを思い出すにその先生は蓮実門下生だったのではないかと思われる。結局自分自身は平凡な学生で、映画漬けの日々を送るようなシネフィルにはならなかった。その時に観たのは『新学期・操行ゼロ』(ZERO DE CONDUITE)だった。操行つまり日頃のふるまいがゼロ点の子供、というタイトルで無邪気な子供たちが学校で暴れまわる様子が楽しい作品だった。デレク・ジャーマンが監督したザ・スミスのクィーン・イズ・デッドのミュージックビデオに羽毛が舞い散っているシーンがあるが、その元のようなシーンがあったことを記憶している。
 さてこの『アタラント号』、若くして亡くなった監督のなかなか全体が観られなかったらしい遺作。予備知識がなかったので(夭折の天才監督、『操行ゼロ』のイメージから)もっと破天荒な作品を想定していたが、大人の夫婦のすれ違いを描くややコメディタッチ、いわゆる人情物ともとれるような作品だった。ポイントは夫が河や運河を行き来する船の船長で、夫婦に加えて二人の船員というメンバーで船上生活を営んでおり、船内の生活や船から見える風景また陸地でも1930年代のフランスの様子がなかなか面白い。船員のジュール親爺がイイ味を出している。

スミス都へ行く』(Mr. Smith Goes to Washington)(1939年)
 フランク・キャプラ監督。名匠だが観る機会がなく今回初めて。いやーこれは素晴らしい。名作といわれるのも当然。
 金で政界を恣にするテイラーの暗躍する政界。とある上院議員の死で代わりとして担ぎ出されたのが政治経験の全くない地方でボーイスカウトのリーダーを務めるスミスだった。
 政治家を主人公に社会正義をストレートに扱った非常にアメリカらしい作品。純朴なスミスがその性格故に利用され、また若く真正直であるからこその闘いへ向かっていくという用意周到なシナリオと的確な演出が見事な効果を生み、無駄のないテンポの良い展開でダレ場はいっさいなく今観ても全く古びていない。生真面目さと地方出身の若者ゆえの自身のなさがあらわれるスミスの(ヒッチコック映画でもお馴染み)ジェイムズ・スチュアート、悪役ぶりが絵になるテイラーのエドワード・アーノルド、次期大統領を目指すため弱みを握られ非業の死を遂げた友人の息子であるスミスを裏切る羽目になる苦悩に満ちたペインのクロード・レインズ、秘書で最大の協力者になるサンダースのジーン・アーサーと俳優陣の存在感も素晴らしい。