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異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

『幽霊海賊』(ナイトランド叢書) ウィリアム・ホープ・ホジスン

幽霊海賊 (ナイトランド叢書)

美しいイラストに装丁と良質なホラー短篇小説を提供してくれる雑誌<ナイトランド>がアトリエサードから<ナイトランド・クォータリー>としてめでたく復活、さらには前回惜しくも刊行にいたらなかった≪ナイトランド叢書≫も復活となり喜んでいたのだが、実際この眼で確かめるまでは不安があった。しかし無事刊行、第二弾のハワードも出るようで喜ばしい限り。

 “航海のあいだ、絶え間なくつきまとう幻の船影。夜の甲板で乗員を襲う見えない怪異。
底知れぬ海の恐怖を描く怪奇小説、本邦初訳!”(amazonの紹介より)

 1909年作。航海中の帆船上で見知らぬ恐怖がじわじわ迫る様子が描かれる筋立て自体シンプルで長尺ではないのでストレートに話は進行する。しかし視覚的な描写と確かな筆致で、逃げ場のない洋上というシチュエーションもあって引き込まれる。また怪奇現象に対してそれがどのような結果を招きうるのかについて理知的な考察がなされるところにカーナッキものとの共通点がみられ、ホジスンの現代性が感じられる。
 若い頃は体が弱く船員生活ではいじめられるも、その後ボディビルで体を鍛え(縄抜けをするフーディーニを力いっぱい縛り上げたことがあるとか)、やがては志願兵として40歳で戦死するという波乱の生涯だったことも本書で知った。なんとなくジェラルド・カーシュを連想したり。