異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム』『インサイド・ヘッド』

 いわゆるファミリー向け映画を2本観た感想。

ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム』(Shaun the Sheep Movie)
 NHKEテレで放送されているクレイアニメーション。牧場に住むちょっといたずら好きな羊のショーンが巻き起こすいろいろな騒動が描かれるショートアニメのシリーズでお馴染みの番組の映画版。
 退屈な日常に飽きてしまったショーンたちが休みが欲しくて飼い主のおじさんをトレーラーハウスに閉じ込めてしまうのだが、トレーラハウスが誤って町まで下ってしまい事故にあっておじさんは記憶喪失に陥いる。果たしてショーンたちはおじさんを牧場に取り戻すことができるか。
 TVシリーズでは牧場が舞台だが、この映画ではロンドン中心に代わり、下町っぽい風景がいつもより英国の作品であることをより印象づけられる。敵役は動物収容センターの捕獲人というのがなるほど現代的。美容室が出ていたり街角のドゥーワップシーンがあったり、黒人音楽好き英国らしいドゥーワップリスペクトを感じた(ドゥーワップにはバーバーショップスタイルというのがあったり、床屋の待ち時間のコーラスから生まれたといわれている)。

『インサイド・ヘッド』(Inside Out)
原題はInside Out(裏返し)なんだね。
 11歳の少女ライリーの頭の中に住む感情たち。リリーの健やかな成長を願うヨロコビ(Joy)、イカリ(Anger)、ムカムカ(Disgust)、ビビリ(Fear)、カナシミ(Sadness)は日々頭の司令部でせわしなく動き回っている。優しい両親に愛され幸せに暮らしていてリリーだったが、パパの仕事で都会に引っ越すことになり、心のバランスを崩しはじめる。
 多感な少女時代のちょっとした日常が描かれるややもすると微温的に受け取られない作品だが、感情たちの鮮やかな色合いとふわっとした繊維質なタッチはぬいぐるみを感じさせるものでやわらかな手触りで表現されているなどディテールが作品世界の存在をたしかなものとしている。人間の内面を映像化する試みでは『インセプション』を連想させるが、本作の方がより身近に無理なく表現していたと思う(子供という設定がフィットしているのかもしれない)。記憶を整理する連中の義務的な応対や無意味な広告の歌がしつこく流れるところとか可笑しい。小さい頃に一人遊びの友として空想したキャラクターがリリーの危機を救おうとする下りには読書や映画が好きな多くの大人も心を動かされるだろう。

 2本ともファミリー向けというフォーマットを忠実に守りながら非常に精巧なエンターテインメントを成立させている。