異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

イマジカBSキューブリック特集『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』『アイズ ワイド シャット』

もうすっかり終わっちゃってるけどさ(笑)
(以下内容に触れているのにご注意)

『シャイニング』(1980年)
 公開当時劇場で観て以来、通してちゃんと観るのは2回目だと思う。当時はぼんやりと撮影の凝ったシーンが多いなあと思った程度だが、あらためて観ると監督の妥協を許さない姿勢がひしひしと伝わってくる。家族の亀裂が伏線となる部分などから妻役には神経質そうで痩身のシェリー・デュヴァルが配役されたのだろう。キューブリックの映像には一貫した構築性があって、宇宙船内も雪の中のホテルも共通するものが感じられる。狂気に陥るHALとジャックに脅かされる閉所恐怖症的な世界は同じ要素があるのかもしれない。

フルメタル・ジャケット』(1987年)
 これは初見。ベトナム戦争の時代が背景。戦場を直接テーマにしたものとしては『突撃』以来で、戦場ものとしては一番の大作なんだろうなあ。前半で軍隊での非人間的な訓練の果ての狂気が描かれ、後半はその登場人物たちが戦地に赴いての出来事が描かれる。前後半で描かれる内容が異なるために短い二本立てっぽいところもあるが、いずれにしても英雄のいないいわゆるカタルシスに乏しいストーリーにも関わらずやはり隙のないシーンの連続で、あっという間に観終わってしまう。一番の見どころは出ている間のほとんどずっと訓練兵を怒鳴りつけている軍曹役のR・リー・アーメイのド迫力。ググったら元本職らしく、wikiによると最初は演技指導で雇われたようだがあまりにインパクトがあって配役されたとか。

アイズ ワイド シャット』(1999年)
 後半をぼんやり観たことがある。倦怠期の夫婦の葛藤をモチーフに、とある館で性の饗宴を繰り広げる秘密の組織の謎がからむといった話だが、今ひとつ決定的な事件起きているわけでもなく割合ゆったりと登場人物たちの心理が描写されるなどキューブリックらしからぬ地味な内容だなあと思っていた。今回も総じての印象は変わらず、すっきりしない。陰謀論的な世界観もちょっと他のものと違うような。出身地であるNYが舞台だったり医者が主人公だったり(キューブリックの父親が医者)、自らや身内についてということではなさそうだが、他作品よりは比較的に元々身近な題材を使っている印象がある(NYが直接題材になっているのは『非情の罠』以来だろうか)。あとせまい所の表現や照明にらしさがあったな(舞踏のシーンはシャイニングを連想)。少し惜しいのは、妻の性欲を知って動揺するが結局浮気が出来ない生真面目な夫(その鈍感さとスクエアさが妻に物足りなくうつっている)がヒーロー役も多いトム・クルーズということかな。楽観的過ぎて妻にダメだしをくらうところが合っていたぐらいで、あんまり悩んでいる感じがないんだよなー。
で、町山智浩さんの解説は
町山智浩が映画「アイズ・ワイド・シャット」を解説・謎解き - YouTube

あーフロイトか・・・。その他もいろいろ参考になるが、やはり地味な話だなと思ってしまった。