サンリオ文庫版『競売ナンバー49の叫び』を読んでいまいちピンと来なかった当ブログ主はほぼ初ピンチョンに近い。
1960年代が過ぎたLA。しがない探偵ドックは昔の恋人から頼みごとをされて・・・。
女に目のないドックは肝心なところでトリップして気を失ってトラブルをこじらせるような全く頼りにならない人物だが、どころなく憎めないユーモラスな主人公。ロックや1960~70年代アメリカ文化に親しんだ当ブログ主には馴染み深い道具立てで、ちょっとユーモア風味のカラフルなポップ小説として読むことが出来る。しかし基本的にはユーモアハードボイルドのフォーマットを踏襲しつつも、ちりばめられた要素は夥しい数に及び、歴史なども含めた西海岸を中心とするアメリカという国が浮き彫りにされる小説でもある。解説は素晴らしく、そうした要素について詳しく解きほぐしてくれる。一読では十分に把握できないけど。
解説によるとピンチョンの著作はそれぞれ絡み合ってるんだねえ。他も読まないとなあ。
あと4月に公開される映画が楽しみである。