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異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

『砂男/クレスペル顧問官』 ホフマン

砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)

「砂男」 子供の頃に出会った怖ろしい砂男が大人になってまた近くにやってきた。寝しなに現れる砂男の伝説は古くから知られまたメタリカの傑作「エンター・サンドマン」にも登場し現代でも広く知られているが、本作は望遠鏡・実験器具・自動人形といった当時最先端の技術(1815年の作)が悪夢的イメージと融合し、解説にもある様に「フランケンシュタイン」(1818年)と年代的にも重なり、さらには主人公が強烈なオブセッションに支配されてしまう点も含め非常に現代的な作品。時代を超越した傑作。
「クレスペル顧問官」 偏屈な法律家の謎めいた生活。こちらもタイトルと多少印象が異なる美しくも悲しい音楽小説。これも素晴らしい。
「大晦日の夜の冒険」 連作短篇のような形式で語られるが、3作共に美しい女性に取りつかれ破滅していく男が描かれる。
 
 画家・音楽家でもあり、法律家として勤めていたこともある作者は非常に才能にあふれた人物であったと思われる。一方で、戦争の影響もあり、私生活は浮き沈みが激しく、わずか46歳で亡くなってしまっている。わずか3作の本書だが、書簡形式や枠物語を使った様な語り口は変化に富み魅力的で、何よりも熱に浮かされたような異様なヴィジョンとそこに没入していく人物たちの描写が凄まじい。その激しさが魅力となっている。