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異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

SFマガジン700号記念オールタイムベストSF2014年版結果を見て その2

読書(海外SF) 読書(日本SF) 読書(SFマガジン)

 さてSFマガジンのオールタイムベストSF、海外作品を比較するよ。最初は1989年の10位までをチェックしようと思ったが、いろいろ気になる作品があったので、11位以下は長篇・短篇一部のみピックアップした(※より11位以下)。
 まずは海外長篇(カッコ内が左から1998、2006、2014の順位の変遷)。1989年のベスト10は
1.『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン (1、3、9) 
2.『幼年期の終わり』 アーサー・C・クラーク (4、2、5)
3.<銀河帝国興亡史>(ファウンデーション)シリーズ アイザック・アシモフ (7、30・43、圏外)
4.『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス (10、21、圏外)
5.『火星年代記』 レイ・ブラッドベリ (2、4、16)
6.<デューン>シリーズ フランク・ハーバート (27、圏外、圏外)
7.『虎よ、虎よ』 アルフレッド・ベスター (4、5、4)
8.『リングワールド』 ラリイ・ニーヴン (15、45、32)
9.『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック (12、14、15)
10.『ソラリスの陽のもとに』 スタニスワフ・レム (3、1、1)

11.『ニューロマンサー』 ウィリアム・ギブスン (17、16、3)
13.『ノーストリリア』 コードウェイナー・スミス (14、11、14)
15.『ブラッド・ミュージック』 グレッグ・ベア (13、19、24)
16.『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン (9、15、11)
17.『2001年宇宙の旅』 アーサー・C・クラーク (55、45、圏外)
19.『闇の左手』 アーシュラ・K・ル・グィン (23、24、22)
20.『都市と星』 アーサー・C・クラーク (25、圏外、19)
21.『地球の長い午後』 ブライアン・オールディス (8、6、7)
25.<新しい太陽の書> ジーン・ウルフ(29、12、8)
 前回『夏への扉』の降下と『都市と星』の返り咲きについては触れたのでそれ以外の感想、と思ったが『夏への扉』については補足(笑)。まあ未だに9位なんだから人気は衰えていないといってもいいはずだが、2000年代に入るまでは別格の作品だったからね。1998年オールタイムベストのSFマガジンの座談会で「ずっと1位なのはナイーブ過ぎる」といった話が出たのが節目だったのか?じわじわ順位が低下している。今後の順位変動が注目である(笑)。アシモフハインラインの低下傾向が続いている。いやかくいうブログ主も『ファウンデーション』については1作目しか読んでいなのだが…。そんな自分がいうのもなんだが、ノーベル経済学賞ポール・クルーグマンだってハリ・セルダンに憧れたというんだから50位以内には入ってもいいような気がするんだが。ハインラインはメッセージ性みたいなものがちょうど今古めかしく感じられるのかもしれない。政治家を目指して挫折したり、タカ派のジェリー・パーネルの口利きで政府の軍事計画のアドバイザーになった(らしい)とか評伝の方が面白いかもしれない。あと<新しい太陽の書>を除いてシリーズものの分が悪い印象もあるね。『デューン』も『砂漠の惑星』辺りしか読んでいないのだが、60年代っぽいドラッギーな雰囲気はアヤしくて面白いんだけどねえ。<新しい太陽の書>は1989年に既に5位に入っていた。ウルフの凄さが徐々に浸透し翻訳作品も増え評価が高まっており、今後はベスト3までいくかなあ。『火星年代記』も今回は16位とやや低下傾向。リリカルなものを最近敬遠されるようになったのかなと思ったら短篇で強いのはそうしたタイプのものなんでよく分からない。ただ長篇に関しては今回は和やかなものより尖った感じのものが目立つような気はした。『ニューロマンサー』はなぜ一度落ちたのかよく分からないが、アニメや映画やゲーム等幅広くサイバーパンクの影響が大きいことが実感できるようになったための順位上昇だろう。『ノーストリリア』『闇の左手』は渋めの順位だが安定した支持を得ている感じ。『星を継ぐもの』はミステリ的な部分で評価が高いのかな。根強い人気。これらの中で今後も強そうなのは『ソラリス』『幼年期の終わり』『虎よ、虎よ』『ニューロマンサー』『地球の長い午後』『新しい太陽の書』かな。
 海外短篇
1.『たったひとつの冴えたやりかた』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア (1、5、3)
2.『冷たい方程式』 トム・ゴドウィン (2、6、8)
3.『愛はさだめ。さだめは死』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア (7、12、19)
4.『接続された女』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア (4、7、4)
5.『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス (3、4、5)
6.『地球は緑の丘』 ロバート・A・ハインライン (10、18、圏外)
7.『人間の手がまだ触れない』 ロバート・シェクリイ (26、圏外、圏外)
7.『クローム襲撃』 ウィリアム・ギブスン (46、39、46)
9.『太陽系最後の日』 アーサー・C・クラーク (5、10、13)
10.『残像』 ジョン・ヴァ―リイ (26、31、圏外)

11.『九百人のお祖母さん』 R・A・ラファティ (21、圏外、31)
14.『たんぽぽ娘』 ロバート・F・ヤング (8、8、7)
27.『フェッセンデンの宇宙』 ロバート・ハミルトン (6、3、6)
 まず『アルジャーノン~』は当然にしてもやや古めかしい印象の『冷たい方程式』『たんぽぽ娘』の変わらぬ強さに驚かされる。リリカルという点では短篇の方が選ばれやすいのかなあ。しかし1989年オールタイムベスト短篇はティプトリー流石に入り過ぎ(笑)ただ今回も20位以内に3作入っている。『フェッセンデンの宇宙』は一部のイーガン作品の世界をシュミレーションするみたいなものの元祖で近年評価高まったと言えなくもないが、元々不朽の名作であり、1989年の27位がむしろ不思議。当時入手困難だったりしたのだろうか。作家投票では3位なのに筒井康隆作品は国内短篇ベスト50以内にもない様子。こういうユーモアものは投票がばらけてしまいランキングに向かないのかもしれない。というわけでオールタイムベストに断片的に登場したユーモアものを羅列『くたばれスネークス』(アンダースン&ディクスン)、『スポンサーから一言』『ミミズ天使』(ブラウン)、『いさましいちびのトースター』(ディッシュ)、『町かどの穴』(ラファティ)。『九百人のお祖母さん』で唯一ユーモアもで食いこんでいるラファティは大健闘なのかもしれない。オールタイムベストからはじかれやすいユーモア作品は別な方法で過去の名作を拾い上げる必要があるかもしれないなあ。