異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

『11』 津原泰水

 11の不思議な世界に誘ってくれる圧倒的な短編集。ひとつひとつけっして長くはないのにバラエティ豊かで濃密な作品ばかりで、しかもどれをとっても著者ならではと感じさせる。
「五色の舟」 再読。やっぱり傑作。この一家の存在感がすごくて、是非また登場させて欲しいなあ。
「延長コード」 家出したあげくに死んでしまった娘の最後の暮らしを調べる父親。ラストがいいなあ。
「追ってくる少年」 短いけどこれは怖いな。
「微笑み面・改」 芸術家におとずれた不気味な出来事。この作品など日記形式で書かれているのだが、文章スタイルやテーマなど変幻自在な手腕もお見事。
琥珀みがき」 琥珀職人の話。短いけどこれまたユニーク。これ結構好きだな
キリノ」 不思議な少女キリノについての学園小説。キリノも魅力あふれる登場人物だなあ。
「手」 好奇心から同級生と不気味な空き家に泊まることになったが・・・。これもいいねえ。
クラーケン」 犬を飼う話といっていいのかなあ。ちょっと謎がある作品だが、印象は強い。
「YYとその身幹」  美しいYYは予備校時代の同級生。こういう普通小説でも他にない味があるんだよな。
テルミン嬢」 再読。脳に埋め込まれる装置の振動によって神経症の治療ができるようになった時代。一種のラブ・ストーリーなのだが、思わぬ展開を示す話。
「土の枕」 再読。戦場でも飄々とした寅次には秘密があった。SFアンソロジーにも収録されているが、いわゆるSFではない。しかし主人公の不思議な行動には強く想像力をかきたててくれる力があって、SFを読む喜びと共通するところがある。

どれも素晴らしいが、やはり「五色の舟」「土の枕」だろうな。とにかく今読むたびごとに驚きを与えてくれる人だ。是非何らかの賞を取って、もっと幅広い層に読まれて欲しい。読まれるべき。
 
※以前のブログで2011年7月16日書いたものです。