読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

CSで映画『新座頭市物語 折れた杖』

映画(一般)

「偶然の事故で行きずりの老婆が死んだ。形見の三味線を娘に届けようと、市は銚子の花街を探しまわる。 しかし、やっと見つけた娘は僅かな借金に縛られ、街の賭場では大金を巻き上げ、港ごと我がものにしようとする貸元の策略があった。その汚い手口に市の怒りが爆発する!両手を潰された市は、仕込み杖をどう抜くか!?」

 これだよこれ。偶然CSでやっていたのを録画したんだが、タイトルも共演者も覚えていなかったので、観始めて思わず叫んでしまった。ノワールっぽい感じで、アバンギャルドといっても過言ではない凝りに凝った映像、最後のアクションも強烈な一本。特に映像がカッコよくて、たしか随分昔(20年くらい前)勝新特集でリバイバル上映でやっていて、当時勝新座頭市もよく知らなかったにも関わらず、度肝を抜かれた一本。その時勝新のトークショーもあったんだよなー。予想していなくてびっくりした。「目の見えない人の感じる映像をどう作ったらいいのか」という話をしていて、豪放磊落な世間的なイメージと違う映画人としての真摯な話しっぷりも驚きであった。
改めて観て、妖艶な太地喜和子に強烈な悪役の小池朝雄などなど共演者の演技の素晴らしさや全体に人間の暗部を抉り出す様なエピソードの数々も際立っていることに気づかされた。またシリーズ24作目にして勝新自らの監督でこのような傑作を生み出す座頭市シリーズ、勝新の分身ともいえるそのキャラクターの求心力の強さも印象に残る。
 シリーズ全部観たわけではないが、個人的にはシリーズでNo.1の作品。

※以下ネタばれ的追記

 

 暗いというのは、金持ちに身受けすることの決まった見習いの女郎の吉沢京子とその弟に代表される無垢な者たちはヒーローであるはずの座頭市に救われるどころか気づかれていくこともなく死んでしまうのだ(知的障害のあるような少年も虐待されるシーンがある)。太地喜和子演じる女郎錦木に思いを寄せるチンピラも利用されあっけなく殺され全く良いところがなく、彼のそれなりに純粋な思いも何にもならない。長くすさんだ生活で荒れた錦木は、母親の死に負い目を感じる市の助けを欺瞞だとなじるような傾いた心の持ち主だ。最後に生き残るのは傍観する役割の為だろう。つまり無垢なるものは全て失われる、そこが暗さなのである。