異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

『裸のランチ』 ウィリアム・バロウズ

 

裸のランチ (河出文庫)

裸のランチ (河出文庫)

「一九五〇年代に始まる文学運動は、ビート・ジェネレーションを生み出した。ケルアック、ギンズバーグら錚々たる作家たち(ビートニク)の中でも、バロウズはその先鋭さで極立っている。脈絡のない錯綜した超現実的イメージは、驚くべき実験小説である本書に結実し、ビートニクの最高傑作となった。映画化もされた名作の待望の文庫化。」

 ビートニク映画祭に向け予習(笑)。ビートニクについてはケルアックの「路上」がピンと来ず、バロウズ山形浩生氏の『たかがバロウズ本』でその波乱の生涯に興味をひかれ、『ジャンキー』など読んで麻薬依存症の描写は面白かったものの、ビートニクのイメージというものがつかめず、自分の中では未整理のままほったらかしになっていた。その後ボブ・ディランをよく聴くようになり、ディランを含むロック文化へビートニクが非常に大きな影響を与えていることを知って急に興味が出てきた(実際ボブ・ディランがDJをしたラジオ番組ではケルアックの名前が歌詞に登場する曲がかけられたりバロウズの話題が出たり、ちらっとその辺が垣間見える)。
 さて本書だが、そうした麻薬依存症たちの生活が気色の悪い幻覚の様な(即興的な)アイディアでぶつぎりの断片的なエピソードが語られる話で正直一読では何やらよく分からない。しかし重ねられるスラングや性的だったり生理的嫌悪感をかきたてられたりする描写の数々は現代でも刺激的で、当時としては全く新しい文体であったろうし、脳の新たな部分を切り開く様な衝撃的なものだったに違いない。一般的には相当神経に応える様なイメージが続くので、ぬるい当ブログ主などは終盤読むのがちょっとキツく感じたことも無くは無かったが、特に新しいものに目がない中学生なんかは今でも相当ハマるんではないかと想像できる。
 ビートニクの若者たちは旧来のアメリカの中流階級の保守的な価値観に反旗を翻したのだが、そうした若者たちが自らを表現するために無数の試行錯誤の結果勝ち得たのがビートニクの文学であったのだろう。そしてそれは今でも彼らの下の世代、若者たちに直接間接的にいろんな角度から影響を与え続けているのではないか。