700号記念で恒例の「オールタイムベストSF」選びがあり、アンケート葉書が4月号にはさまってる。
長年SFに親しんでいるのでそんな5作なんて決められるかいっ!といいながらも、まあお祭り企画なのでね参加しますよ。とはいってもねー悩むんだよなコレ。前回(2006年これまた8年も経ったのか~)はブログやり始めでちょっと目立とうと思い無理してましたすんません(最後に前回の内容を入れます)。でも普通に考えても難しいよなー、好きな作品はいろいろあるし、所詮いちファンだからあんまり基準とか決めてもねえ。そもそもSFって何だろみたいなことになるので…。
といろいろ考えていても締め切りも近づくから投票することにした。一票とはいえ一票ではあるので自分なりの考えを整理しておくと、基本的に科学や(社会や人間への)概念の変化を反映するので、ある程度名作の顔ぶれも新陳代謝があるはずだと考えていて、けして多い読書量とは言えない当ブログ主ではあっても出来る範囲でなるべく新しい作品や作家を入れようとした。ただ、あえて定番を完全に外して新しいものばかり入れるというのはかなりカッコよくて憧れるのだが、残念ながらそこまで出来るほど読んでいないのだった。それに何年経っても凄いという作品もあるしね(前回背伸びし過ぎて、ちょっと後悔したところもある。マイナー作品などで投票が反映されないのが多くてさすがに残念だった笑)また同じ作家がダブるのもちょっともったいないなーなるべく色んな作家を入れたいなー、と気の多いブログ主は思い、一作家一作品とした(長篇部門と短篇部門があるが作家一人につきどちらか一方にした)。定番ぽい作品(の一部)は自分が入れなくても入ると思い、自分でどう考えても名作というものも外さざるを得ませんでした。ということで前回2006年よりは素直に選んでいるけど、やはりいろいろずれたベストにはなってるかなあ。ま、最後は勢いで(笑)。
◎海外長篇
1.『ソラリス』 スタニスワフ・レム
2.『夢幻会社』 J・G・バラード
3.『エンパイア・スター』 サミュエル・R・ディレイニー
4.『双生児』 クリストファー・プリースト
5.『歌の翼に』 トマス・M・ディッシュ
◎海外短篇
1.『しあわせの理由』 グレッグ・イーガン
2.『にせもの』 フィリップ・K・ディック
3.『オメラスから歩み去る人々』アーシュラ・K・ル=グィン
4.『男たちの知らない女』ジェイムズ・ティプトリー・Jr
5.『息吹』テッド・チャン
◎海外作家
1. ジェイムズ・ティプトリー・Jr
2. フィリップ・K・ディック
3. ジャック・ヴァンス
4. サミュエル・R・ディレイニー
5. ジーン・ウルフ
◎日本長篇
1.『日本アパッチ族』 小松左京
2.『ハーモニー』 伊藤計劃
3.『産霊山秘録』 半村良
4.『Self-Reference-Engine』 円城塔
5.『グラン・ヴァカンス』(シリーズ) 飛浩隆
◎日本短篇
1.『希望』 瀬名秀明
2.『五色の舟』 津原泰水
3.『遠近法』 山尾悠子
4.『X電車で行こう』 山野浩一
5.『柔らかい時計』 荒巻義雄
◎日本作家
1. 筒井康隆
2. 伊藤計劃
3. 円城塔
4. 鈴木いづみ
5. 瀬名秀明
結果についてのコメント(言い訳です笑)
まず海外について。好きな作家の投票はあんまり考えてません(笑)。で作品の方だがプリーストは今回入れたかった。『夢幻諸島から』がもちろん凄いんだが、収録外の短篇が大きな意味を持つ広がりの大きさをどう捉えるかなやみ、バランスの良い『双生児』。ジーン・ウルフとコードウェイナー・スミスを落としてしまったのが心残り。当ブログ主としてはディッシュとディレイニーが外せないのでねえ。『息吹』はまじ凄い!ローテクなアイデンティティ探求ものでインスタント・クラシックですよ!2010年1月号のSFマガジンを是非。ディックの短篇は絶対票が割れるので長篇にしたかったが、長篇がどうしてもこの顔ぶれになるんだなー。短篇長篇とも1位は前回と変わらなかった。いやほんとこの2作は個人的に別格なんだよな。
国内。新しい作家をそれなりに投票しながらSF冬の時代からの大物作家に未読が多いなどで世代的に中抜けしちゃってるかな。あとニューウェーヴ系がどうしても好きなのでこうなった。鈴木いづみの『夜のピクニック』は今回も入れたかったのだが…。筒井康隆は作家の1位にしておきながら作品の方には入れないという姑息さ(笑)。短篇だと票が割れるだろうし、一方長篇は未読が多いんだよなー失礼しました。伊藤・円城のコンビで国内作品もまた読むようになったのでインパクトが大きく、一方津原泰水『五色の舟』これまでにない独特の怪奇風味のある歴史改変SFで衝撃的だった。前回と長篇短篇とも1位を変えたんだけど、『日本アパッチ族』はプリミティヴなエネルギーに満ち溢れている作品で戦後SFの原点だなあと思い1位に。その小松と積極的に対峙してきた瀬名秀明の作家としての誠実さには本当に頭が下がる思いがする。『希望』はまさしく日本SFの歴史をふまえてその欠落した部分に敢えて目を向けて、新たな一歩を踏み出そうとする作品で1位にした(評判の良い『新生』は未読なのだが)。
素直に選ぶと大長篇が無くなってしまうという傾向で読書能力の限界がばれる。他も短い作品やら連作長篇的なものが並ぶねえ(苦笑)。とにかくこれで投票した。
ご興味のある方は前回分もどうぞ。
2006 5/16のブログに書いた前回2006年の自分の投票
◎その一 自分の投票内容 カッコ内は全体の結果
◇翻訳 ○長編1.ソラリス(1位)
2.クラッシュ(圏外)
3.暗闇のスキャナー(圏外)
4.新しい太陽の書(12位)
5.宇宙消失(25位)
○短編1.しあわせの理由(1位)
2.マザー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
(圏外)
3.アジアの岸辺(圏外)
4.スター・ピット(26位)
5.わが愛しき娘たちよ(50位)
○作家1.ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(4位)
2.J・G・バラード(9位)
3.グレッグ・イーガン(2位)
4.トマス・M・ディッシュ(圏外)
5.ジャック・ヴァンス(圏外)
◇国内 ○長編1.妖星伝(3位)
2.復活の日(7位)
3.戦闘妖精・雪風(9位)
4.グラン・ヴァカンス 廃園の天使?(18位)
5.‘リング’シリーズ(圏外)
○短編1.ある晴れた日のウィーンは森の中にたたずむ
(圏外)
2.遠近法(17位)
3.X電車で行こう(41位)
4.夜のピクニック(圏外)
5.梅田地下オデッセイ(13位)
○作家1.筒井康隆(2位)
2.小松左京(1位)
3.鈴木いづみ(43位)
4.山田風太郎(圏外)
5.小林泰三(23位)