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異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

『こうしてお前は彼女にフラれる』 ジュノ・ディアス

 新しいブログになるに当たって、新たな企画をやってみることにします。題して「読書でバーチャル世界旅行」。ある国や地域に関連した小説を読んで、そこにちなんだ音楽・スポーツ(まあまずは野球とサッカーが多くなるだろうなあ)についてのことにも触れるという読書日記プラスアルファといった感じ。もちろん旅行なので好きな所しか行きませんし、見たいものしか見ません(笑)。ガイドではないので不正確な内容でもご容赦を(間違いがあった場合は、気が弱いのでそっと教えてくれると有難いです・・・)。音楽については北中正和『世界は音楽でできている(中南米・北米・アフリカ編)』や中村とうよう『なんだかんだでルンバにマンボ』ワールドミュージックの膨大なレビューと紹介の素晴らしいサイトQuindemboなどを参考にしました。

※11/24追記 日本カリブ海交流協会のHP も発見。おおこれは分かりやすい。参考にさせていただきます


 さて第一回目はドミニカ共和国生まれで衝撃のオタク小説『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』で我々の度肝を抜いたジュノ・ディアスの短篇集『こうしてお前は彼女にフラれる』。今回はオタク文化はやや背景に退き、『オスカー・ワオ』ではオスカーの友人として登場した遊び人ユニオールが多くの作品の主人公を務め、男女のすれ違いが描かれる。

「太陽と月と星々」のっけから恋人マグダに浮気のばれたユニオール。関係改善の望みをかけてサントドミンゴへ。よくある男女の悲喜劇にちらっとのぞくサントドミンゴの風景が印象深い。
「ニルダ」これは少年時代のユニオールなんだろうな。兄貴ラファの彼女ニルダとの思い出を描いた青春小説。
「アルマ」またまた上手くいかないユニオールだが、これは歌詞の様なリズム感のある一篇。まあいずれにしてもサイテーな野郎ですわ(笑)
「もう一つの人生を、もう一度」主人公はアメリカの病院の洗濯係をするドミニカから来た女性。二人の子供をドミニカに残し出稼ぎに来た同僚と同居生活を送り、同じようにドミニカから来た男性と不倫をしている。祖国とアメリカの狭間で厳しい日常を送る彼女たちは、肩を寄せ合いながらもお互いの未来についてのことを語り合うことはタブーのように避け合う。オーソドックスなタイプの切ない話で、こういうのも書けるんだなあ。
「フラカ」自然消滅してしまった白人女性とユニオールの話。ったく次から次へとよくもまあ・・・(笑)。
「プラの信条」ユニオール以上の女たらしで滅茶苦茶なラファをめぐるドタバタ劇。重病になっても全く反省することのないラファに乾杯!

「インビエルノ」本書ではユニオールの一番小さい頃の話かなあ。一家で引っ越してきたアメリカには雪が積もっていた。

「ミス・ロラ」ユニオール高校時代。やせっぽちの女教師とつき合うようになるが、自分の高校に赴任してきてしまう、という三文エロ小説もかくやという展開がおかしい。

「浮気者のための恋愛入門」コンパクトな浮気年代記といったスタイルでまたまた浮気性な男たちの日々が綴られるが、サイテー野郎に対し対抗措置を打ち出す女性たちの逞しさもまたドミニカらしさなのだろうか。

  会話のカギカッコをほとんど使わず地の文とつなげてリズム感を打ちだす文体は『オスカー・ワオ』同様だが、畳みかけるような表現やオタク用語は少なめで、どちらかといえば渋めの巧みな引きの技が光る短篇集。こちらの方が素に近いのかもしれない。

 


◎音楽

 さてドミニカといえばメレンゲ。そうなるとメレンゲ界のモーニング娘。Las chicas del canに登場してもらわねばなるまい。1982年に結成ワールドミュージックブームの頃には来日もしていた。モーニング娘。っぽいというのは仕掛け人がいて、どんどんメンバーが変わっていくということ。ちょっと聴き直してみたんだけど、結構いい。露出度高めなんだけどあっけらかんとしていて一歩手前でイヤラしくない感じ。打楽器持って出てくるおねえさんがカッコいい。映像の質はちょっと残念だけど。ジュノ・ディアスの小説にもメレンゲは度々登場するが、上記北中本によると独裁者トルヒーヨが広めた側面もあるようだ。

 

◎スポーツ 

 ジュノ・ディアスの小説に登場するのは野球ばかりで、今年のWBC優勝国でもある野球大国である。目についたところだけでもペドロ・マルティネスアルバート・プホルスアレックス・ロドリゲス、ブラディミール・ゲレーロサミー・ソーサデビット・オルティーズとすごい名前が次から次へと出てくる。サッカーの方はW杯出場も無いなどいまいちっぽい。そういえば先日女子バレーボール代表が日本と試合をしていたが強いようだ。