異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

『外套と短剣』 フリッツ・ラング監督

 

フリッツ・ラング傑作選 外套と短剣 [DVD]

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またまた新橋文化劇場でフリッツ・ラングをやっていたのでいそいそと。
 第二次大戦前夜ドイツの原爆開発を調査・阻止すべくアメリカ軍の大佐が旧知の物理学者にスパイを依頼する話。
 どうもネットを巡回すると評判はもう一つかな。おそらく後半ラブロマンスの比重が大きく、ラングらしい人間の闇の部分を抉り出すような要素が弱いせいだろう。しかし全体としては甘さに流れることなく無駄のない引き締まった演出で非情なストーリーが展開されているし、俳優陣ではゲイリー・クーパーはダンディで、相手役のリリー・パルマーは美人というより愛嬌のあるタイプでレジスタンスの悲しみが出ていた。娯楽作の要素は強く名作とまではいわないまでも随所にラングらしさはみられ十二分に楽しめる作品だと思う。
 タイトルはスパイ・ミステリー・暗殺といったシチュエーションを言及する言葉だそうで、ちゃんと伏線にもなっている。