異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

読書(海外SF)

2017年7月に読んだ本

『黒檀』カプシチンスキ 長期間に渡りまた非常に広範囲に及ぶアフリカのルポルタージュ集。危険をおかすことも厭わず外からの視点を超え現地に踏み込み記録し得ぬものを記録しようとする情熱と筆力がすごい。残した作品が世界各地にも広がっていたことにも驚…

2017年6月に読んだ本

『狂気の巡礼』ステファン・グラビンスキ 科学的な比喩や考察がところどころにあるのがいい。オカルト風ミステリ「チェラヴァの問題」、時間SF風味の「サトゥルニン・セクトル」、ネイティヴ・アメリカンを題材にとった「煙の集落」など物語性の強い後半パー…

2017年5月に読んだ本

『ラヴクラフト全集2』 数少ない長編「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」より、船舶による冒険の時代が感じられコンパクトにスケールの大きいホラー世界が展開される「クトゥルーの呼び声」の方が面白かったかな。(これもまだ2までで歩みを速めないとなあ…

第3回シミルボンコラム大賞に選ばれました

読書サイト<シミルボン>でコラム大賞の募集をしていて、第3回の大賞に選ばれました。 このコラム大賞、これまでに3回行われそのうち2回はSF研究家・文芸評論家の牧眞司さんが選考をされていてテーマがSFなので応募していました。 今回のテーマは「時間とSF…

2017年4月に読んだ本

4月はいろいろ忙しくて少なかったなあ。反省(積読ばかり増えていく傾向がさらに加速しておる・・・)。『スウィングしなけりゃ意味がない』佐藤亜紀 19世紀ポーランドの農村を舞台にした重厚な『吸血鬼』から一転、今度は第二次大戦中のドイツ都市部で監視の…

2017年3月に読んだ本

昔買って積んでいた文芸誌を結構拾い読みした。 『新潮』2015年9月号 川上未映子「苺ジャムから苺をひけば」 腹違いの姉がいることを知った少女。技巧的には文句なしだが、手堅過ぎるのと子どもたちが妙に大人びているのが気になりいまいち。 金井美恵子「孤…

『怪奇小説傑作集2』英米編Ⅱ

kazuouさんの怪奇幻想読書俱楽部に参加しているので、まずは『怪奇小説傑作集』は読まないと。というわけでようやく2。(でも3は読んでるんで1~3まで終わったんですよ!<誰へのアピールか(笑) 2巻は1巻の19世紀末から半世紀、20世紀前半の作品が収録。「…

BEST SF2016投票

森下一仁さんのSFガイド恒例BEST SF2016に今年も投票。『エターナル・フレイム』グレッグ・イーガン 1点 このシリーズは物理学の根本から世界を作り上げるアイディアと主人公たちのSFとしてはオーソドックスな擬人化という組み合わせをどうとらえるかだと思…

2017年1月に読んだ本

『ストップ・プレス』マイクル・イネス 殊能将之氏のホームページでの秀逸な紹介から13年余り、翻訳刊行されてから11年余り、ふと思い立って読み始めたらミステリ慣れしていない当ブログ主にも(年末年始の休みを使うことによって)意外にすんなり読めた。癖の…

12月に読んだ本

あけましておめでとうございます。 備忘録以上の内容ができるめどがまだ立っていませんが、まあとにかくだらだらとは続けようとしておるブログでございます。 おつき合いいただければ幸いでございます。さて12月に読んだ本の羅列。 『宇宙探偵マグナス・リド…

2016年11月に読んだ本

『SFマガジン2016年 12月号』 短篇など読んでみたので。 ケン・リュウ「シミュラクラ」面白かったが、人の姿を写し取るとかそれに一定の時間を要するところとか家族の話になってるところなど、この間観た「ダゲレオタイプの女」と不思議に重なる。偶然なのだ…

2016年7~9月読了本

諸般の事情でなかなか長い読書感想が書けない。ただ備忘録の役割も果たせなくなってきているので、しばらくはメモ書き程度でブログ記事以降の読了本の整理。『カント・アンジェリコ』高野史緒 サイバー・バロックの煽り文句も踊る、カストラートとハッキング…

『虚構の男』 L・P・デイヴィス

"唖然とする展開、開いた口がふさがらなくなるラスト……早すぎたジャンルミックス作家L・P・デイヴィスによるストーリー紹介厳禁のサプライズ連打小説! 本邦初訳。時は1966年、イングランドの閑静な小村で小説家アラン・フレイザーが50年後(2016年!)を舞台に…

『ロデリック』刊行記念 柳下毅一郎さん×円城塔さんトークイベント@高円寺文禄堂

さる3月23日にスラデック『ロデリック』翻訳者の柳下毅一郎さんと解説を担当された円城塔さんのトークショーのまとめ。 その昔、新高円寺に住んでいたので高円寺駅前もそれなりによく通ったが随分変わっていた(まあ20年近く前だから当然か)。文禄堂は駅前…

『特殊な本棚』柳下毅一郎、『ロデリック:(または若き機械の教育)』ジョン・スラデック

エッセイと長年刊行が待たれていた大作が同時期に出て、ちょっとした柳下毅一郎祭りとなっている(多少時間が経ってしまったが(笑) さて『特殊な本棚』。本の雑誌の連載で欠かさず読んでいた、一風変わった本を毎回紹介するエッセイ。柳下氏には翻訳家・映…

〈ウィザード・ナイト〉完結記念《ジーン・ウルフの魔術を語る》トークショー(後半)

≪さてここから主に『ウィザード/ナイト』で重要な部分もそのまま伏せずに書いていますので未読の方はご注意!≫ (様々な話題が出て多少途中を省いているので話題によって行がえをするように記載してみました)(宮) 『ウィザード/ナイト』は英語版wikiで…

〈ウィザード・ナイト〉完結記念《ジーン・ウルフの魔術を語る》トークショー(前半)

行って参りました、〈ウィザード・ナイト〉トークショー! http://tsuhon.jp/event/3514 いやウルフはやっぱりオソロシイ作家だわ・・・。 ちなみに当ブログ主、ウルフは好きではありますが、さっぱりわからないといっても過言ではない作家の一人で(他にも…

今年も投票BEST-SF2015

恒例の森下一仁さんによる2015年SFベスト投票に参加(昨年も参加したんだけど、ブログ記事にはしなかったんだなー。アバウトな性格だなー(笑) こんな感じで送信。「多くは読めなかったのですが、なかなかインパクトのある作品が多かった気がします。 『ク…

『歌う船』アン・マキャフリー

脳機能に異常はないが機械の助けなしでは生きられないヘルヴァが宇宙船となって様々な出来事に遭遇し成長をする連作長篇。1969年作でシリーズものの印象が強いが、2作目は1992年で随分間が空いている上に共作でその後も共作が続いて終りの方はマキャフリー原…

『世界の誕生日』 アーシュラ・K・ル・グィン

“両性具有人の惑星ゲセンを描いたヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作『闇の左手』と同じゲセンの若者の成長を描く「愛がケメルを迎えしとき」、男女が四人組で結婚する惑星での道ならぬ恋を描く「山のしきたり」など“ハイニッシュ・ユニヴァース”もの6篇をはじ…

『クロックワーク・ロケット』グレッグ・イーガン

“わたしたちの世界とは少し違う、別の物理法則に支配された宇宙。奇妙な現象「疾走星」の増加を調べる女性物理学者ヤルダは、彼女たちの惑星が壊滅間近であることを知る。危機回避のための策は、いまのヤルダたちにはない。しかし巨大ロケットを建造して深宇…

丸屋九兵衛トークライブ「Q-B-CONTINUED vol.4」腐女史会!

はいまたまた行って参りましたよQ-B-CONTINUED。いやーしかしこれまた濃いネタだなー。しかしやっぱりきちゃった感もある腐の世界。文学や音楽に出てくる同性愛文化には多少親しんできてるけどBL物自体はあんまり詳しくないんだよなー。まあとにかく代官山シ…

『へびつかい座ホットライン』ジョン・ヴァーリイ

ISBN:9784150106478 (以後内容やシリーズ関係の話にすぐ触れていますので未読の方はご注意を) 新訳や再編集などで読み直されているジョン・ヴァーリイの<八世界>シリーズ。このシリーズの背景は「謎の超越知性の侵略により、人類は地球を追放された。だ…

『ジーン・ウルフの記念日の本』ジーン・ウルフ

一つの文章に幾重にも意味を重ね読者を幻惑する技巧派SF作家ジーン・ウルフは短篇の名手として知られている。1968~80年の作品を収めた1981年刊行の本書は、アメリカの記念日をテーマにしたそれぞれ独立した短篇で構成されており、作品の短いものは10頁に満…

『フランケンシュタインの精神史 シェリーから『屍者の帝国』へ』小野俊太郎

“200年前に書かれた『フランケンシュタイン』が提示する問題系の現代的な意義=「つぎはぎ」「知性や労働の複製」「母性をめぐる解釈」などをめぐり、日本の戦後SFへの継承をたどる!鉄腕アトム、鉄人28号、人造人間キカイダーなどの国産の漫画、アニメを「怪…

『黒い破壊者(宇宙生命SF傑作選)』A・E・ヴァン・ヴォークト, R・F・ヤングほか著 中村融編

宇宙人でもなく宇宙怪物でもなく<宇宙生命>SF。ということで、ある意味SFの王道である侵略者タイプではなくユニークな生態がポイントとなる作品のアンソロジー。さすが百戦錬磨のアンソロジストである中村融さん、ひねりが効いている。(特に面白かったも…

『SF雑誌の歴史 パルプの饗宴』マイク・アシュリー

SFが好きで長い間読んでいるが、はまるきっかけとなったのは雑誌である。SFマガジンやSFアドベンチャーが本屋に並ぶの日を心待ちにした体験が何よりも読書の喜びの原点である。あと短篇小説好きなのでショートショートランド誌も大好きだったなあ。現在そう…

『ゼンデギ』 グレッグ・イーガン

第一部2012年不安定な政治状況のイラン、取材を行う新聞記者の主人公マーティン。一方そんなイランからアメリカに亡命しゲーム会社<ゼンデギ>に努める科学者ナシム。そして第二部2027年、イラン女性と結婚し男の子の父親となったマーティン。一方ナシムら…

『プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが・・・』フィリップ・ロス 『ユダヤ警官同盟』マイケル・シェイボン TV映画『ヒットラー』

ナチスのユダヤ人差別をテーマにした歴史改変ものを続けて読んでみた。 もしも第二次大戦時に元飛行士で反ユダヤ主義者リンドバーグが大統領になっていたら・・・。 7歳の少年の目線で差別にさらされる恐怖と家族・民族・国家を描く、ロス最高傑作とも評され…

映画『コングレス未来学会議』

映画『コングレス未来学会議』公式サイト 『泰平ヨンの未来学会議』の映画化作品。とはいえ原作自体も様々な思考実験が魅力で、しかもテーマが現実の不確実性ときているので、ストーリーやプロットがどうのこうのという作品ではない。そこで監督は大胆かつ大…

『聖なる侵入 [新訳版] 』 フィリップ・K・ディック

<ヴァリス>三部作が現在どのように受け止められているかわからないが、1980年代ディックの評価が急速に高まり初めて刊行された時代はいち読者の印象としては「かなり難解」あるいは「わけがわかならい」というあたり。当ブログ主は「SFファンやディックフ…

<「ヴァルカンの鉄鎚」刊行/P・K・ディックSF長編全作翻訳記念トーク>@Cafe Live Wire に参加

さて久しぶりのCafe Live Wire。ディックネタでは以前新訳「ヴァリス」のトークショーもあり参加したが、今回は「ヴァルカンの鉄鎚」でディックの長編全作が翻訳された記念のトークショー。で、主役は何といっても山野浩一さん!競馬評論家としても知られる…

『ヴァルカンの鉄鎚』 フィリップ・K・ディック

ある意味ディックのマイナー作品の代名詞として有名な作品である。つまりマイナー作品なのに有名という変なポジションを獲得した一作でもある。で、結局これが最後の未訳作品だった(一部雑誌で訳されたり、アマチュア出版で出たりはあったようだ)。 核戦争…

『泰平ヨンの未来学会議』 スタニスワフ・レム

さて待望の復刊が登場、買ったら思ったより薄かったので早速読んでみた。いやーやっぱり(期待通り)変な作品だった。(以下内容に触れます) 泰平ヨンはコスタリカで開かれる人口増加問題についての世界未来学会議に参加するが、テロが勃発。さらに混乱の真…

『ニューヨークの世紀末』 巽孝之

ニューヨークが描かれている小説やフィクションに興味がある。ニューヨークがテーマとなると、ともすると都会的・ソフィスティケイトといった方向に話題がいってしまうかもしれないが、もっと多様な面があるのではないかと思っている(例えば当ブログ主が好…

現代詩手帖2015年5月号 [特集]SF×詩

詩には疎いブログ主であるが、なかなか面白そうな特集で作家の顔ぶれもいいので買ってみた。予想以上に興味深い内容だった。 (目次とは入れ替えて並べてあります。またあくまでも今号の一部)鼎談 増田まもる×水無田気流×河野聡子 世界観を変える力 翻訳さ…

『エデン』 スタニスワフ・レム

今月はハヤカワ文庫から『泰平ヨンの未来学会議』が再刊され、国書刊行会から『短篇ベスト10』も出る。前者については映画も公開されるというちょっとしたレム祭りがやってくるので肩慣らしに積んでいた『エデン』を読んでみた。 (短めの感想ですがいつもな…

SFセミナー2015

今年も行って参りました。去年は結局レポートを書けなかったが、今回はちょっとまとめておこうかな。 まず昼の本会から。 1.東山彰良インタビュー(聞き手 大森望) 『ブラックライダー』のタイトルだけは知っていたが、台湾生まれの方で子供の頃に日本に定住…

『紙の動物園』 ケン・リュウ

2012年に初紹介された1976年生まれの中国系米作家。帯にあるようにヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞を受賞している注目の新鋭の日本オリジナル短篇集。予想以上に面白く多彩な内容。かなりの大物が登場した感じだ。 (以下多少内容に触れるので未…

『世界受容』<サザン・リーチ>3 ジェフ・ヴァンダミア

やや長さが気になったもののシリーズ2巻目『監視機構』までは謎の解明がないことにさほど不満はなかったのだが・・・。より複雑な語りを持ちこむことによって読みにくさが増し、どういったことを描きたいのか読んでいる身としてうまくシンクロすることができ…

第2回名古屋SF読書会『虎よ、虎よ!』に参加

当ブログ主はオサーンSFファンでファン歴は長いのだが個人としてイベントを見聞きするといったパターンが長く続いていたので、読書会に参加するのはわずか。読書会、と銘打ったものははじめて(ということで名古屋SF読書会もはじめて)。まあでも長く本を読…

大阪の古本屋回り

用事があって大阪に行った。観光するほどの時間はなかったので、本好きの方から秘密情報を得て古本屋回りをすることに。大阪の古本屋は初めて。 早速収穫の方から これを出先から持って帰るんだから、我ながら酔狂者だ(苦笑)。いやー予定外なんだけど。でも…

『監視機構』<サザン・リーチ>2 ジェフ・ヴァンダミア

謎の領域<エリアX>を監視機構<サザーン・リーチ>が調査するという<サザン・リーチ>三部作の2作目。 1作目『全滅領域』では<エリアX>の謎を解き明かそうとする調査隊の姿が描かれていたが、今回はそれを送りだした監視機構<サザン・リーチ>の話。 …

『ドリフトグラス』 サミュエル・R・ディレイニー

本を見た感想、「白い」。読んだ感想、やはりディレイニーは難しい。 ひとまず各作品の感想。 「スター・ピット」宇宙の彼方にたどりつけない人類というテーマと思ったが、コミュニティやニューヨークを描写したところなど別な面もありそう。 「コロナ」 音…

『全滅領域』<サザン・リーチ>1 ジェフ・ヴァンダミア

ジェフ・ヴァンダミアの名を初めて知ったのはSFマガジン2004年6月号のスプロールフィクション特集Ⅱだったと思う。このスプロール・フィクション、保守化していく主流派に対しジャンルを越境し革新を図っていく伴流<スリップストリーム>文学をギブスンのス…

第26回SFマガジン読者賞に投票

第26回SFマガジン読者賞投票した。 来年からSFマガジン隔月になるということで、ちょっと今回は区切りとしてなるべく読み切り作品を読んで投票してみることにした(もちろん誰に頼まれた訳でもないが(笑) なにはともあれ期限が近付いたのでとりあえず投函。気…

<R.A.ラファティ生誕100年祭 一期一宴>@Cafe Live Wire に参加してきた

去る11月7日ラファティのトークイベントがあったの参加してきた。いつもながら備忘録的に簡易レポート。(ラファティは近年ようやく少しずつ楽しめるようになったかなーというブログ主なので、いつもよりさらに間違いがあるかも知れず悪しからず)。また話の順…

『イースターワインに到着』 R・A・ラファティ

30年はいかないけど20年ぐらいは積んでいたかもしれない。 名うてのSF読み巧者の方々からラファティ凄い凄いといわれ、少しずつ翻訳が出てつき合ううちに遅い歩みながら良さがだんだん分かってきたというブログ主。ついに11月7日にはLive Wireでの生誕百年祝…

SFマガジン 2014年12月号<R・A・ラファティ 生誕100年記念特集>

予想をはるかに上回る大充実の特集だったので書影も大きくしてみた(笑) 誰でも楽しめるめちゃくちゃ面白い『九百人のお祖母さん』や名作短篇で不動のユーモアSF作家の位置を築きあげた一方で、人を人とも思わぬ残酷さと底知れぬ深淵さと放り投げた様な印象…

『フィーメール・マン』 ジョアンナ・ラス

フィーメール・マン (1981年) (サンリオSF文庫)=フィーメール・マン 数年前に初読、久しぶりに再読。 基本的には並行世界ものと言えるだろうか。ラジカルに男性原理を糾弾する内容でSF史に残る作品だが、その強烈なメッセージ性以前にニューウェーヴSFの時代…